2022.05.30
「うちの子はスマホを触ってばかり、ゲームをしてばかりで勉強しないんです。触る時間をゼロにまではしなくていいけど、適度に使い方をまもってほしい。
先生、何とかならないでしょうか。」保護者の相談でよく耳にします。
1日のうち何時間も触っているなら
スマホ依存症と疑われるのは当然かと思います。
スマホ依存症とは
生活の昼夜が逆転する、成績が著しく下がっているにもかかわらず使用をやめられない。
スマホを使用できないとすぐに起こるイライラするなど落ち着かない状況になってしまう精神依存の状態をいいます。
スマホは次の要素を持って動いています。
使う人間がいる
電気で動いている
機械で動いている
アプリ(ソフト)で動いている
ですので、スマホを制限する方法は次の順序になります。
1、アプリ(ソフト)で制限する
2、充電器で使用を制限する
3、スマホを使わない場所において制限する(デジタルデトックス)
4、自制心で使用を制限する(依存症を抜け出した状態)
アプリ制限と充電器による「ペアレンタルコントロール」を利用しましょう。
ペアレンタルコントロールとは保護者による使い方の制限です。親が子どものスマホを管理し、また監督できるようにして依存症を予防することです。
持っているキャリアによって多少違いますが
◎一定時間で使えなくなるアプリを入れて総量時間で制限する
◎制限アプリを使って1日のなかで使用時間を決めてしまう(例:午後8時~9時テレビのゴールデンアワーと同じ時間にする)などです。
(ベネッセ教育研究所による千葉県での大規模調査で成績の優劣を決めているのは忙しい中学生の1日のなかで40分間を学習に使用するか、テレビ・スマホに使用するかの違いが報告されています。)
ペアレンタルコントロールではほかに
・勝手にアプリをダウンロードできない
・成人向けの動画サイトを閲覧できない
・勝手に課金できない などの対策が可能です。
しかし、上に政策あれば下に対策あり。デジタルネィティブである子供たちはこれらの対策をやすやすとくぐり抜けていきます。
つぎに思いつくのは充電器による制限でしょうか。
◎夜8時以降はリビングで充電、自分の部屋にはもちこまない。
◎スマホの1日の使用量は充電1回分だけにする など
でもこれらの対策をやる前にしておくことがあります。
スマホの所有者はお金を払っている保護者です。
使っている本人とよく話し合うことです。
お母さんは使い過ぎて勉強の妨げになっていると思うけど、どう思う?使い過ぎとは思わないの?
「じゃあ使っている時間をアプリで記録して毎日カレンダーに書き込んでいきましょう。」(←これお勧めします)
3か月後にそれらの数字をみてお互いがどう思うかという話し合いを再び持たれることです。
本人の言い訳は・・友達がどうしてこうした。勉強でスマホを使うから など
一度許すと八百屋でキャベツの値段を値切るような条件闘争になった時は際限が無くなります。
その時はゲーム機を、スマホを「あなたをダメにするためにスマホを買ったのはない」と言って取り上げましょう。
ここでスマホ使用制限の特効薬をこっそり教えておきます。
生徒にゲームやスマホの対策を子供たち自身に聞くと「取り上げられることが一番の対策になる」と言っています。
子供にスマホを渡すと必ずと言っていいほど問題が起こります。
子供にスマホを渡そうか悩んでおられるご家庭はこれらの問題を引きおこることを想定してご判断していただく必要があります。
銀行の窓口で待っているときにふと目に飛び込んできた「スマホ中毒」の文字。手に取った女性週刊誌の記事を急いで読みました。心の問題である依存症にはスマホを取り上げる以外の効果的な薬はなくて、それ以外では予防策しか見つかりません。あの頃はこの問題を取り上げている病院も久里浜医療センターしかなくていろいろ対応策を考えあぐねていました。難しい問題です。あれから8年。お母さんと一生懸命に生活を元に戻そうと面談で話していた生徒も今年22歳を過ぎて元気そうにやってます。
この文章がスマホを持たせて失敗だった、これからスマホを持たせようとしておられるご家庭の参考になりましたら幸いです。