2021.01.27
英語ではたいして勉強もしないのに楽に成績を伸ばしている生徒がいるかと思うと逆に頑張っても頑張っても英語力が伸びない生徒もいます。公立中学の教科書は以前に比べると内容量も減って簡単に理解できそうですが、英語の成績が伸び悩んでいる生徒はたくさんいます。私立の難しい英語教材も楽にマスターしている生徒もいれば、ついていけなくなっている生徒もいます。他の教科はそれほどでもないのに英語だけは成績がいいという生徒もいます。
苦手な生徒ほど教科書を読んでみなさい、と言っても読めません。脳内に発音が現れないからです。どう発音したらよいのかわからない単語は読めないのです。ローマ字(日本語表記のための道具)を知っていますから、I like you(アイリケヨー)と平気で読みます。
この差はどこから生まれてくるのでしょうか。理解力、暗記力の差だと考えられがちですが、その理解力・暗記力の差も実は英語の学習法の違いから生まれてきているのです。
英語は言葉ですから、国語の学び方と同じような手順が必要です。国語であればまず話す・聞くことができるようになり、その後で読み・書きを習います。音声言語として国語を習得した後に、文字言語としての国語を習うのです。その転換点として音読を繰り返し、黙読の力をつけていきます。この黙読の力を養成するのに小学1年から始めて、2年ほどかかります。
中学生は、国語でいったん黙読の能力を付けていますから、英語の黙読力を付けるにはさほど時間はかかりません。数ヶ月で身に付けることができます。
しかし、英語は中学に入ってすぐに音声も文字も同時に出てきます。そして、すぐに定期テストがあり、そのテストは、大半文字言語としてのテストになります。
ここで英語学習の勘違いが起こってくるのです。つまり音声言語としての英語力が十分身につく前に文字言語としての英語に入ってしまい、黙読では意味が取れなかったり、基本文型が頭に入ってこなかったり、単語が覚えにくくなったりしてしまうのです。
音声言語の英語を習得する前に文字言語の英語を学習するので頭が混乱を起こします。
また、次のことで混乱に拍車をかけることがあります。
英語の思考と日本語の思考のちがいです。違いはこうです。
例文:英語では
He played tennis at the park yesterday.
例文:日本語思考
彼は昨日公園でテニスをした
he yesterday at the park tennis played.
並び方が主語をのぞいてすべて逆に並べています。
言語は思考の基礎を作っています。思考というのは文字列が脳のなかを巡って行われます。
そのために中学生が英作文を作るときに知っている英単語をつい日本語の順番に並べて×になることは自然なことをしているに過ぎないのです。
私たちは日本語を話すときに日本語の文法の知識から日本語を作成して話していません。日本語の基本例文を頭に焼き付けているからできる技なのです。
この思考順序が逆であることを克服する一つの方法が例文暗記です。
中学校の英語の先生が生徒に音読と基本例文を暗記させる理由はここにあります。
結論
音声言語としての英語習得を第一に行う。
音読学習⇒単語、基本文、教科書本文
特に教科書本文は大学教授、高校教諭、ネイティブが初学者のために吟味した文章ですので音読することは自然に英語を習得することに大いに役立ちます。
単語の音読50回、基本例文の音読50回、教科書の音読50回をやりましょう
特に基本文暗記は英語と日本語の思考順序のちがい克服に大いに役立ちます。