2023.01.09
「オボエル」とは脳のなかのネットワークに新しい項目を増やすことだと述べました。
学習にはさらに「ワカル」という作業が加わります。
いま、棒に縄が三重に巻かれています。
そしてリンゴが3個あります。
共通点は何でしょうか?
簡単ですね。「3」です。
ところが、まだ「3」という文字がない時代
の話だとしたら、これが当たり前ではありません。
三重に巻かれた縄と3個のリンゴを見て「同じ」と気づくでしょうか。この「同じ」と気づくことが「ワカル」です。
リンゴ3個と縄3重は同じことなんて当たり前と思われるかもしれませんので、違う例で言いますと一次関数の式y=ax+bとまっすぐのびる線(直線)は同じです。私は中2生の時このことがサッパリわかりませんでした。解き方だけ真似してテストを乗り切ったことを覚えています。毎年中学2年生の一次関数のテストの結果が悪いのもこの「同じ」ことが分からないためです。
去年から中3生の受験生に同じことを教えています。文字の集まりの式y=ax+bと図形の直線(グラフ)が同じこと(数学の言葉で同値)だと理解できないと入試問題は解けません。どうやら2時間以上かけた授業でわかってくれたようです。多くの数学の先生が生徒が一次関数をわかってくれないと嘆くのはこの同値を限られた時間で教えきることができないからです。
例として出しましたリンゴ3個と縄3重が同じであることと「ワカル」ことは人類が数を見つけて応用していく過程を表しています。脳内で3の抽象化に成功したわけです。そして、ここから結び付けをして考えるに至ります。
三重に巻かれた縄と3個のリンゴは「同じ」と結び付けること、これが考えるということです。
考えるとは結び付けることです。同じに見えないものを見えるはずだと言われても見えないものは見えないです。「考えなさい」と強制することは同じに見ろと言っていることです。そこで子供たちは直感で処理をすることと覚えてあらぬ方向に走り出してしまいます。
新しい学年になって新しい学習内容を習うことはこの新しいことを前の学年に脳内に入れておいた古い知識(記憶)とを結び付けることです。
三重に巻かれた縄と3個のリンゴは「同じ」と分かること、気づくこと。そして、このことを応用して異なるように見えるものを結びつけていくこと、それが考えることです。