2019.02.07
いまや、高校生の95%が所有して、1日の平均使用時間が170分(内閣府28年度調査、中高生の平均使用時間は140分)になっているスマホですから、家族と接する時間よりもスマホに接する時間が多くなっているともいえます。
問題は視力が弱くなる、睡眠時間を削って体調不良を起こすことだけなさそうです。
スマホの使用時間が成績不振と正の相関を持っていること、つまり成績の良い子は使用時間が短く、成績の悪い子は利用時間が長いという調査結果が出ていますので、保護者の心配はますます増えていきます。
しかも、高い料金を支払っているのは保護者です。その姿を横から見ていますと、心配の種を自らが蒔く悲劇の演者を演じているようにみえます。
ここで書いていきますことは武道で言う「心・技・体」の心の部分です。スマホ中毒に子供をさせないための技を紹介していきますが、最終的には心の部分に触れていきたい。心を鍛える、心を磨く。自制心を持つ自己管理のできる子を育てていくということが最終目標です。
子供はルールを守らないという性悪説に立ってスマホの使用制限をしますが、最終地点は性善説を信じているということを忘れないでください。
スマホの使用を制限する。ネットで検索をして対策を調べてみますと
◎充電バッテリーを持ち歩かない
◎スマホは1日充電1回
◎「ゲームは1日1時間」
◎中毒アプリをフォルダに隔離
◎スマホをカバンにいれる
◎ガラケーに機種変する
◎通知機能を使用しない
◎メール受信の間隔をあける
◎音楽プレイヤーを持ち歩く
◎ベットにスマホを持ち込まない
◎友達数人と会合をするときはテーブルの上にスマホを集めておく
◎外で誰かといるときは自分ルールを決めておく
◎めんどくさいパスワードを設定しておく
◎「私はスマホ依存症」唱える
◎「人前でのスマホは子供以下」と考える
◎スマホは1日1回にする
◎電源をOFFにする予定を入れる
実に涙ぐましいまでの対策を考えておられます。
これら提案されている対策を私なりにまとめると4つのくくりに分けることができると思います。
1,物理的にスマホを排除する
2, ハードの面で排除する
3, ソフトで排除する
4、自制心で使用を制限する
◎スマホは躾の道具
対策を考えることも大切なことですが、しかしまずはスマホに対する基本的な考え方をしっかりと持つこと。
そこから、どう子供に触らせるのかということを考えておくことが優先されます。
基本的に子供がスマホ中毒になってからあわてる保護者はスマホを好きに触らせ、あまりに多くの時間をスマホに取られてからルールを決めていこうとするみたいです。子供は所有物になったスマホを取り上げられるので親の規制に反発します。
スマホにたいして免疫を持たないこどもは基本的に性悪説で考えるべきだと思います。そのためにあらかじめ
2つの基本を設定することをお勧めします。
1、スマホを子供の所有にしない。料金を支払っている親からレンタルされたものとして一時的に与える。
2、レンタルされたスマホの使用の仕方について約束をする。約束を破った時のルールを決めておく。
以上の基本に則って約束を破った時にスマホの使用の制限をしていく。
自由には責任が伴うという自覚を持たせる。
この自覚を持てない、たとえばまだ幼い小学生にスマホは持たせるべきではないと思います。
使用の制限(またはスマホの排除)の対策を4つ上げさせていただきました。
1,物理的にスマホを排除する
2, ハードの面で排除する
3, ソフトで排除する
4、自制心で使用を制限する
使用の制限はこの順序を反対に並べて1番から始めると効果的です。
つまり物理的排除
1、午後6時から午後8時までしか触らない
2、スマホはリビングでしか触らない
3、自分の部屋にはもって上がらない
4、学校には持っていかない
などのルールです
これが守られない場合は
次は充電ケーブルまたは充電器で排除する方法です。
つまりハード面での排除です。
スマホの弱点は充電です。充電器の支配はスマホの支配を意味します。
充電ケーブルと充電器の管理がスマホの管理と言っても過言ではありません。
たとえば次のようなルールを設けます
1、長時間のゲームやグループラインをしないように充電は1日1回か2日1回しかしない、つまり充電が切れたらそれ以上の使用禁止
2、携帯用の充電器は持たせない など
次に充電に関するルールを設けてもそれを守らない場合は
そこではスマホの制限をするアプリを利用します。
1、有害サイトのフィルタリングをしてくれるアプリは必要です。
2、時間制限をしてくれるタイマーアプリを入れる。
3、子供のスマホ利用状況を親のスマホで閲覧できるアプリ
4、親のスマホから子供のスマホに対して強制的にロックをかけるアプリ など
ただ、新しいことを吸収する力は私たち大人より子供の方が優れています。
これらのアプリをすり抜けることを考え始めますのでご注意ください。
つまり、スマホを持たせる場合に難しいのは性善説に立つのか、性悪説に立って行動すべきなのか。この選択を常に迫ってくる。これがスマホを持たせることの悩みの本質です。
スマホの利用で約束を破ったら子供のスマホにこれらのアプリを入れることを事前にルールとして決めておきましょう。充電についても事前に決めておきましょう。
最も大切なことは
スマホの使用を制限することではなく、スマホを使って躾を行うということです。
スマホを利用して子育てを楽しんでいただくことが最も大切なことだと思います。
そのためにはスマホやゲームにしても
「もういい加減にしなさい、お母さんの我慢は限界だ」みたいなその時々の気分でゲーム機・スマホを子供から取り上げるのではなく、ルールに従って子供とスマホの距離を離してあげることが大切です。
理由が大切だからです。理由に正当性があれば自己管理に問題が行きあたるからです。
ルールは絶対ではありません。子供の言い分が正しければルールを柔軟に変えればよいことです。
子供と言った、言わなかったという水掛け論にならないように文章にして冷蔵庫に張り付けておくことも一つです。
躾の部分を担うわけですから親御様にも考え方としっかりした対応が必要になってきます。
スマホに触る時間が長い高校生は成績も振るわないという調査結果も紹介させていただきました。
最後の対策といたしまして
4,自制心で使用を制限する
スマホを持たせるにあたって使用の制限をかけておられると思います。
午後7時以降は充電時間でスマホに触らない
自分の部屋に持ち込まない
など
最も大切なことはスマホの使用を制限することではなく、スマホを使って躾を行うということです。
スマホを利用して子育てを楽しんでいただくことが最も大切なことだと思います。
この意味は次の例を紹介した方が分かりやすいと思います。
当塾では小学生の満点道場をやっています。
毎月、教材が送られてくるポピーを使って算数国語理科社会をみております。
その教材の中にポピーFがあり、これは保護者様に読んでいただく冊子になっています。
この冊子の冒頭、必ず教育評論家の親野力氏のコメントが載っています。
このコメントに必ず書かれていますのが「プロの親になってください」ということばです。
あなたは子供の親としてプロのような振る舞いができていますかという問いかけです。
プロは行動に責任を持ちますし、日々仕事に対して反省を欠かせません。
この行動を促しているわけです。
要するに自分の行動をしっかりと認知していますかという客観視を促しているわけです
子供にとってアマチュアの無責任な親をもったら、それは子供にとって不幸なことだといっているわけです。
プロの親になるためには日々自分の行動を反省して、次回のチャンスに備えて努力を惜しんではなりません。
日頃、同じ屋根の下で生活をしていて、ついつい感情的に行動してしまう我々にとってはこの言葉は厳しい意見ですね。
私たちは感情という素晴らしいプレゼントをもらって行動をしていますから、感情を無くして自分を客観視することは難しいことです。
無条件に愛していますから子供に対しては特に感情的になってしまいます。
話が戻りまして、スマホを使って躾をしましょうというのはこのプロになりましょうということと同じ意味です。
なかなか実行は難しく、つい感情で行動をとってしまいがちです。
でも、その難しいことに挑戦をして、子供と共に成長をしましょうという意味がこの言葉に隠されています。
ネット中毒という言葉を聞いて1年半ほどになります。正しく使えば問題のない道具も使い方を間違えると人を迷わせます。テレビ、漫画、車。それに今度はゲーム、スマホが加わりました。
結論から申しますとスマホ・ゲーム機の所有権は子供にあるご家庭がほとんどと思います。この所有権が親の元にあることを明確にしておくことを提案いたします。
所有権を親の元に戻すことは機器使用の規律を取り戻すためです。所有権がこどもにあればスマホ・ゲーム機の運用の主導権も子供が持つことになります。子供が無制限にこれらの機器を使うことで悩んでおられますので、まずは所有権を子供に与えないことが肝になると考えます。
この所有権を親のもとに戻すことは、「自分のものは自分が自由に使って当たり前」という意識をまずは無くし使用規制の主導権を親が取り戻すことを狙っています。少なくとも親子で使い方を考えるきっかけにして、できればそれを躾けにまで高めることを狙います。
所有権を親に持たせることで参考になりますのはご存知の方が多いと思いますがアメリカのお母さんが13歳の子供にスマホを持たせるにあたり、18の約束(ルール)をさせて持たせたことが有名です。この約束のよいところは約束を躾に役立てていることです。ただ、この18の約束をそのまま使うことには無理があり、18のルールで使えるところを私たち日本人に合うようにして運営する必要があると思います。
日本人に合うようにというのはこの18の約束をそのまま日本人には使いにくいということです。契約を前提とする社会土壌が多民族国家アメリカにはありますが、例えば、18の約束を作ったお母さんはキリスト教徒、白人、高学歴という方ではないでしょうか。この18の約束を一読して違和感を覚えた方もおられると思います。
日本の文化では個人の契約を前提にしてはいない、個人よりも集団に重きを置くアジア的な文化です。親子関係では互いの人格をはっきりと分けることなく、親のものは子供のものというように考えてしまいがちです。ですので、買い与えたゲーム・スマホは子供のものとして、持たせると同時にそれは親のものでもあります。このことで摩擦が起こります。
また18のルールは数が多すぎます。こんなに多くては互いの矛盾点も現れ、躾、指導の軸もぶれてしまいます。ルールは子供が確実に覚えられる3~4つがよいと思います。以下は例です。
スマホの約束 1、スマホは親のものである
2、約束を守らないときは親に返す
3、
3には各家庭が大切にしていることを入れてください。たとえば、SNSなどで人を傷つけてはいけない、時間を守って使用する、パスワードは親に必ず伝えておく、フィルタリングを掛けるなどです。
そして、いま所有権が子供にある場合はそれを親に帰属させる方法といたしましては、子供が約束を守らず使っている機会をとらえて演技をするのはいかがでしょう。演技で激怒するわけです。いま風でいえば、キレるわけですね。その怒りを鎮めるために約束を取り付けるわけですね。次の日に上記の約束を突き付けるという流れですね。ただ、子供は演技を見抜きますのでご注意ください。
ゲーム機、スマホをダラダラと使用することを禁止する。時間設定をしてさらに集中して使用させる。
例えば、小学生のゲーム機使用では必ず宿題を終えてから(宿題が先という順序が重要)18時~19時で使用する。ゲームも集中してやる。もし、集中していなければ取り上げる。
中学生のスマホでは20時~21時で存分に遊んでよい。スマホでなければできないことをやる。そして、時間が来たら、きっぱりやめる。
と決めておきます。
使用する時間を決めて、かつ集中させてやるというところがポイントです。
しかし、そうはいっても時間を守らないことははっきりしています。いまでも時間を決めてやっているが、全然守れていない生徒もいると思います。
約束を守らない子供に対して、どのように対処するか。まず感情的にならないことが最大のポイントになります。
約束を守らないとき用の表を作り、リビングなどの目立つところに張っておきます。そこには日時も書き込む欄を設けてあり、時間超過の注意を受けた事実を表に×として記録します。注意が3回であれば×も3回書き込めばよいと思います。
そして×を何個か貯めると罰ゲーム、家事の手伝い、期間限定使用禁止、永久使用禁止などの約束をあらかじめ決めておきます。内容は何でもよいと思います。
こういうルールが作れるのはゲーム機スマホが親の持ち物で、レンタル制にしているからです。ルール作成の権利も親の側にあり、永久使用禁止にできる権利も親にあるわけです。
今現在ゲーム機・スマホが漠然と子供の持ち物になっている場合、明日から急に親の持ち物とすることは不自然ですので、子供の使用がひどいときにチャンスと見てレンタル制にする方がよいと思います。その機会を待ちましょう。子供がおじいちゃんからもらったと主張するなら、おじいちゃんに事情を話してゲーム機・スマホを返しましょう。
この作戦の最終目標は子供が自分の行動を自己管理できるように努力をするということです。始めはうまくいかないと思いますが、目標を何回も子供に伝えて成長するように持って行ってください。
来月はゲーム機・スマホの良いところを書きたいと思います。
○○のスマホの約束違反記録表
4/20×× |
4/22× |
4/25× |
4/27×× |
4/30×× |
←1週間 |
取りあげ |
5/2× |
5/5× |
|
|
|
|
|
1、親からレンタルしている形にする。
2、使用時間を決めて、熱中させる。
でした。
スマホ・ゲーム機の良いところを書きます。
スマホ・ゲームに良いところなんてあるのか、と思われる方もおられるかもしれませんね。でも次のことを読んだことがあります。
ゲーム世代はパソコンのスキルが高く、パソコンで仕事をするうえでゲームをやっていた人間は覚えが速い。また仕事にパソコンを使う職業につきやすいという内容です。
このことは統計を見たわけではないので、検証されているわけではありませんがスマホ・ゲーム世代はコンピューターに対するアレルギーはないはずですので言えなくもないと思います。少なくともこれからも求められる情報リテラシーを身に付けていることは言えそうです。
2つ目は熱中するということです。熱中することは集中力の養成に役立ちます。たとえば、ノーベル賞受賞者の共通点を調べたところ共通点はあまり見つからないそうです。ただ、睡眠時間が最低8時間以上取っている人が多い。そして若い時に何かに熱中していたこと(熱中の対象はほとんど勉強ではないそうです)があったという方が多いらしいです。
熱中することがあるということはそれを持たない人間と比べるとかなり幸運です。とくに若い時に持っていることは幸せでさえあると思います。あとで振り返った時に財産になっていると思います。集中力も後天的な才能で、熱中という訓練次第でのばしていける能力だと思います。それが漫画やゲームやスマホであっても。
ただ、やるべき勉強や仕事の邪魔になるようでは問題ですが。
以上 コンピューターに対する順応性を高める
集中力を高めることができる
がスマホ・ゲームの良いところと考えています。