2017.10.26
英語ではたいして勉強もしないのに楽に成績を伸ばしている生徒がいるかと思うと逆に頑張っても頑張っても英語力が伸びない生徒もいます。公立中学の教科書は以前に比べると内容量がふえて英語の成績が伸び悩んでいる生徒はたくさんいます。私立の難しい英語教材も楽にマスターしている生徒もいれば、ついていけなくなっている生徒もいます。他の教科はそれほどでもないのに英語だけは成績がいいという生徒もいます。
この差はどこから生まれてくるのでしょうか。理解力、暗記力の差だと考えられがちですが、その理解力・暗記力の差も実は英語の学習法の違いから生まれてきているのです。
英語は言葉ですから、国語の学び方と同じような手順が必要です。国語であればまず話す・聞くことができるようになり、その後で読み・書きを習います。音声言語として国語を習得した後に、文字言語としての国語を習うのです。その転換点として音読を繰り返し、黙読の力をつけていきます。この黙読の力を養成するのに小学1年から始めて、2年ほどかかります。
中学生は、国語でいったん黙読の能力を付けていますから、英語の黙読力を付けるにはさほど時間はかかりません。数ヶ月で身に付けることができます。
しかし、英語は中学に入ってすぐに音声も文字も同時に出てきます。そして、すぐに定期テストがあり、そのテストは、大半文字言語としてのテストになります。
ここで英語学習の勘違いが起こってくるのです。つまり音声言語としての英語力が十分身につく前に文字言語としての英語に入ってしまい、黙読では意味が取れなかったり、基本文型が頭に入ってこなかったり、単語が覚えにくくなったりしてしまうのです。英語は表音文字を使っていますので、音がわかればスペルは想像できます。ですから音からはいれば覚えやすいのですが、音から入る学習法が定着していないと、スペルを覚えるのも文型を覚えるのも非常に難しくなってしまうのです。
英語が得意な生徒というのは、初めて英語を習う時に十分音読をし、音で英語を覚える習慣を身につけた生徒なのです。その上で音をスペルに直したり、文に直したりしているのです。
英語が苦手な生徒は、単語を文字言語としてスペルで覚え、文法で単語を並べ替えて文を作っています。これは必死で頭を使わなければならない作業ですが、英語の得意な生徒は文法など考えなくても音声言語として文が浮かんでくるのです。後はスペルに転換するだけです。文法問題はすでに読み書きできるようになった文の分析として理解しているのです。
もともと人は文字を覚えるよりも音を覚えるほうがずっと簡単で、また忘れにくいものです。例えば小さいころに覚えた歌を大人になっても歌えることは多いのですが、小学校で習った詩を覚えていることは珍しいと思います。これは、歌に音がついているために覚えやすく、かつ忘れにくいのです。
英語の学習法のコツはここにあります。この「音から入る学習法」を身につけると、英語はほんとに簡単になってしまいます。
当塾で音読を繰り返す理由はここにあります。
実は、文部科学省の会話文を重視する教科書改訂と英語指導法の改訂には、この「音から入る英語学習法」の意図が含まれていました。小学校から英語を始めようとしていることも、中学の教科書が会話中心から入り、文章量が減ったことも「音から入る英語学習法」を意図していたのです。しかし、定期テストのやり方が変わらなくて、いきなり文字言語でテストをするために、公立中学校では逆に教科書が濃くなった分だけ英語力が落ちるという結果に陥っています。
学習の具体例
以下、英語の「音から入る英語学習法」の実践例をあげてみましょう。
1. 音読をして音で文を覚える。
まず教科書の音読テープを聴き、あるいは先生の発音を真似て、音読を繰り返し、音で英文を覚えます。完全に暗記する必要はありませんが、音読を聞けば繰り返して文が言えるところまで練習します。
わからない単語が多いと文全体の意味がわかりにくいので、文型や単語が覚えにくくなります。音読を始める前に、わからない単語の意味を調べておきましょう。
私たちは、音読する時、一つ一つのアルファベットを読んでいるのでは無く、単語ごとにブロックで認識しています。例えば、bookという単語の場合、b、o、o、kを別々に見て読んでいるのではなく、bookという塊の形を認識して読んでいるのです。そうでなければ、文をすらすら読めません。ですから、多少のスペル間違いがあっても気づかずに読んでしまいます。音読しながらスペルを覚えるということは、このブロックの形を図形的に覚えるということです。
幼児教育で、フラッシュカードを使っていろいろな知識を覚えさせる手法があります。声を出して読みや名前を言いながら、一瞬漢字や動物の絵などを見せて、漢字や動物の名前などを覚えさせるのです。フラッシュカードを使うと子供達は驚くほど速くたくさんの量を覚えます。これは、一瞬の条件反射的な記憶定着を利用したものです。英語で音読する時は、一つの単語を見る時間は一瞬しかありません。ですから、音読しながら英語で単語のスペルをを覚えるのもこの手法なのです。英語の得意な生徒は自然にこの手法が身に付いているのです。というよりも、音読をたくさんやると誰でもこの手法が身に付くのです。
2. 音読テープまたは先生の音読から英文を書く。
音を聞いてスペルを想像しながら、英文を書きます。ここで、たいせつなことは、スペルを先に練習しないことです。スペルを練習しなくても、意外と英文が書けるということを実感できると思います。そうすれば、英語の苦手意識はかなり解消します。
3. スペルを間違った単語をなぜ間違ったのか確認して、スペルを覚え直す。
想像したスペルが間違っていたら、なぜ間違っていたかを確認させます。正確な発音ができるのであれば、ひとつの発音に対して対応するスペルは2~3種類しかありません。1種類でないのが日本語のひらがなやカタカナと違うところで、ひらがなやカタカナに比べれば難しいのですが、慣れてくればスペルは非常に覚えやすくなります。
4. 日本語訳をする。
それから日本語訳を書きます。この時日本語訳ができなければ、教科書の例文解説や例題等を見て訳を考えるようにします。英単語の意味とスペルは、文といっしょにこの時点でしっかり覚えるようにします。音読の時は文全体の意味がだいたい分かっているだけでかまいません。文から切り離された単語は覚えにくいし、定着しにくいので、文と共に覚える習慣をつけるようにしましょう。
5. 日本語訳から英訳をする。
日本語訳を見て英文に直します。この時、音でいったん覚えてスペルも練習しているので、あまり考えなくてもすらすらと英文が出てくることが体験できます。このとき、文法を使って英文を作るのではなく、あくまでも音で覚えた英文をスペルに直すよう心がけてください。
6. 文法問題を解き、文法的な理解を定着させる。
英訳を文法にあまり頼らずに行えるようになった後で文法問題を解くと文法 問題を解くのが簡単であることが実感できます。文法の理解に重点を置くより、文型を覚えておくほうが文法問題を簡単に解けるのです。文法学習の意味は文の分析であり、英語の理解の手助けにすぎないのです。
7. 文法の基本例文を暗記する。
文法の定着は問題集を解くことで終わるのではなく、文法単元ごとの基本例文を暗記することで完成させます。理解は定着しにくいのですが、音で覚えた文は理屈抜きに長く定着します。
8. もう一度教科書を音読して定着を図る。
最後に、すべてわかった上で教科書を音読して、なかば暗記するくらいに音読を繰り返し、教科書理解を定着させます。
上記のような学習を繰り返し、英語の学習習慣を変えることで、英語は誰でも苦手教科から得意教科に変えることができます。最初は時間がかかりますが、どんどん短い時間でできるようになってきます。特に私立で使われている「プログレス」は、「音で覚える学習法」を前提として作られているために、文法中心の学習法では学校の進度についていけません。
単語暗記は「覚えられない!」じゃなくてやり方を間違えているだけなんだよ
単語暗記ツールのご紹介
当塾では中学生に英単語をどうやって覚えさせるか?
これは長年の悩みでした。
なぜなら1年では中学の先生がお遊びのような授業後に教科書にはいるために単語の大事さを知らずにすごしてしまいます。
中2ではドンドン出てくる単語に追いつけなくて困っています。
中3では単語の重要性を理解できても、覚える量の多さに圧倒されて覚える気をなくしています。
こんな状況を何とかしないといけないのですが授業時間内にやるとしても限界があります。
そこで考え出したのが効率的な暗記術を使った方法です。
まだ、完璧といない状態ですが英語が特に苦手な生徒に効果を発揮しています。